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The 90th Anniversary Residency / THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA directed by SCOTTY BARNHART

artist COUNT BASIE ORCHESTRA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ホリデイ・シーズンに王道のビッグ・バンド・スウィングを満喫する、これ以上の贅沢があるでしょうか。

創立90年を迎える"ザ・レジェンダリー"カウント・ベイシー・オーケストラの来日公演が今年も超満員のオーディエンスを集めて開催中です。20日、22日と名ヴォーカリストのパティ・オースティンをスペシャル・ゲストに迎えた公演が行われましたが、23日からいよいよオーケストラ単独のライヴが始まりました。十数人のメンバーが同時に演奏する音の厚み、アレンジされた部分とアドリブ・ソロの絶妙なバランス、まさにビッグ・バンドの醍醐味がこれでもかと押し寄せてきます。しかも今回は、ブルース・コードを持つ楽曲の割合が(私の聴いた限り)高めなので、楽器を演奏するリスナーにも"ブルースにおけるアドリブのうたわせ方"を学ぶうえで最上のステージなのではないかと思います。

コンダクターはもちろんトランぺッターのスコッティ・バーンハートが務めます。ソリストでは、1950年代から60年代にかけてのベイシー楽団で輝きを放った"トゥー・フランクス"ことフランク・ウェスとフランク・フォスターのサックス・コンビの現代版といったところでしょうか、"トゥー・ダグス"というべきダグ・ミラーとダグ・ローレンスのテナー・サックスが大フィーチャーされ、ほか、ショーン・エドモンズのトランペット、ジョシュア・リーのバリトン・サックス、勤続41年・・・・つまりサド・ジョーンズがコンダクターだった頃からのメンバーであるクラレンス・バンクスのトロンボーン等のプレイもフィーチャーされました。リズム・セクションも変わらぬ鉄壁ぶりですが、今回はピアノにジョージ・コールドウェルが参加しているのもポイントでしょうか。90年代、フランク・フォスターがコンダクターだった頃のベイシー楽団で活動した彼の復帰を歓迎するファンは多いことでしょう。

レパートリーは、長く豊かな歴史を持つベイシー楽団ならではのもの。スコッティは"レイト・グレイト"という言葉の後に、各曲のコンポーザーやアレンジャーを紹介します。オーケストラの一員だったアール・ウォーレン、バック・クレイトン、フランク・フォスター、サド・ジョーンズ、外部から関わったニール・ヘフティ、サミー・ネスティコ、皆、もうこの世にはいません。が、スコッティが彼らの名をオーディエンスに丁寧に紹介し、オーケストラが往年のスコアを目の前で演奏することで、そのサウンドは"いまを生きる音楽"としてオーディエンスの体を揺らしてゆきます。歴史的な音楽家が、身近に感じられる瞬間です。

公演は28日までオフ日なしで続きます。ニューアルバム『Basie Rocks!』が第68回グラミー賞「Best Large Jazz Ensemble Album」部門にノミネートされているザ・レジェンダリー・カウント・ベイシー・オーケストラの雄姿をぜひご堪能ください。また、ブルーノート東京のSNSや本公演特設ページでは、歴代メンバーがベイシー楽団でのエピソードやお気に入り曲、さらに90周年への想いを語る動画を公開中! こちらも必見です。
(原田 2025 12.24)

Photo by Yuka Yamaji

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【LIVE INFORMATION】

The 90th Anniversary Residency
THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA
directed by SCOTTY BARNHART
2025 12.23 tue., 12.24 wed., 12.25 thu., 12.26 fri., 12.27 sat., 12.28 sun. ブルーノート東京
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★90周年アニバーサリー 特設ページ
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